神戸NHK文化教室 鈴木襄楽
2013年9月29日、平安神宮拝殿において、煎茶献茶祭が可楽家元嗣のお手前により執り行われました。可楽家元嗣のお手前をつぶさに拝見することができ、左右の神殿への献茶の儀式も見ることが出来ました。雅楽の演奏もされ、非常に興味深いものでした。
この後は貴賓館でのお茶会となりました。貴賓館は大きな池にせり出すように建てられていて、手摺のついた濡れ縁式の廊下があります。お客様が受付を済ませ、廊下に上がると、すばらしい景色をご覧になることになります。正面に大きな森を背景とした広い池、右手に楼閣を思わせるデザインの橋、水面を足元に見て、心はまさに貴賓の気持ちとなることでしょう。天候に恵まれ、快晴の日和となり、渡りくる風はさわやかで、これからお茶をいただかれるのですが、すでに清風を感じられたのではないでしょうか。
そしてお茶席に入ると、広い床の間には広瀬淡窓・旭荘のお軸がかけられ、凛とした炭飾りに秋の気配ののびやかな花が飾られていました。
いよいよ一席目が始まりお運びをさせていただきましたが、この度は男性ばかりでお席を担当するということで、硬い雰囲気になるのではと思っていたのですが、後見の先生のどなたかの晴れやかな声が聞こえ、お席の空気がガラリと変わり助けられた思いです。
ついに私のお手前となり、水屋の御家元の奥様ならびに先生方にご挨拶をし、ここはもう腹を据え、お席に入りました。立派なお道具が並ぶなか、錫製と思われる水注のずっしりとした感触を味わいながらお手前をさせて頂きました。幸い、お取次ぎを長岡支部の中川艸楽様にお願いすることになり、無事お手前をすることができ感謝しております。
お客様の「おいしい」というお言葉を思い出し、清清としたお顔で帰られる姿を見、事が滞ることなく進み、是まさに好日でした。