家元師範 細田徳楽
2013年4月16日、京都の洛北からさらに北部の、大原寂光院に於いて建礼門院八百年御恩忌の献茶式が行われ、小川流が奉仕致しました。
午前11時、本堂にて天台宗の声明の厳かな裡に、可楽家元嗣の御献茶が厳粛に始まりました。御本尊の地蔵菩薩の御前では、同時にご住職・瀧澤智明様が法要の導師として勤行を執行しておられます。お手前が進み、可楽家元嗣の淹れられた三碗は、各師範の手から院嗣・瀧澤智双様に手渡され、それぞれ御本尊地蔵菩薩、建礼門院坐像、阿波内侍坐像の御三体の御前に供えられました。この間、山からの桜吹雪が堂宇を包み、浄土を拝見するような美しい景色となりました。さらに散華、地蔵教読経等と続き、式は万事滞りなく終えることができました。献茶奉仕は細田徳楽師範、瀬本章楽師範、菅井翠楽師範。
この後、拝服席は茶室「孤雲」にて棚一文字煎茶手前。床飾りの軸は亀田窮楽筆の「酌泉」、通い筒には牡丹が一輪、炭組は「柳塘」で、小さな筏が副えられました。
お席は、袈裟姿の御住職さま方から茶味の賛辞をいただき、寛いでいただけたようです。また、別室にて下鴨茶寮のお弁当をいただき、小規模ながら充実した一時でした。時折、桜吹雪が舞い、山つつじが咲き、池にはモリアオガエルが棲むという自然一杯の、印象的な茶会となりました。