2011年6月26日、近江神宮にて献菓・献煎茶式が執り行われました。
煎茶式に先立ち、滋賀県農業協同組合様の献茶葉、菓子協同組合様の献菓の式が行なわれました。そして献茶式では可楽家元嗣がお手前を、瀬口素楽師範、木本富楽師範が供茶役をつとめられました。水屋奉仕は大塚清楽師範、玉串奉奠は瀬本章楽師範。
直門 菊池美楽
近江神宮において煎茶献茶式が可楽家元嗣のお手前ご奉仕により、執り行われました。
昨年の猛暑を思い返しながら、清々しく清められた拝殿に向かい、門人一同の更なる精進と煎茶道の発展、先人の方々への感謝、また今回の東日本大震災にあわれた方々の復興への願いを一煎にこめられる可楽家元嗣と心一つに参列させて頂けましたことは、大いなる喜びでございました。
式後、勧学館において器局冷淹手前での煎茶会が立礼式で開催されました。
お席では、結界を兼ねたガラスの小さい花瓶に、夏椿、玉あじさい、花ざくろなどの可憐な花々が席入りの際に目に飛び込み、繊細な煎茶道の味わいを予感させます。お道具の器局は、田中柏陰画のすばらしい桐柿縁器局。翁祖団刻の白竹滝図の茶則に、同じく翁祖団が白磁に蘭詩文を刻んだ水注。また錫円式の茶壷、白磁に百合図の茶瓶といった、昨年のガラス器のお道具とはまた一つ味わいの違った、ピリリとしまった空気感をただよわせる道具立てで、冷淹の一滴を思いのほか一層涼やかに楽しませて頂きました。
外国から初めて参加のお客様も、深遠なる日本文化の一端に触れ、感激されたご様子でした。外国の方のみならず、お一人でも多くの方に煎茶道に親しんで頂き、また同じ道をともに楽しんで行けます様、努めて参りたいと存じますが、まずは各々の茶会、お席でより多くの門人の方々とともに茶味を大いに楽しみたいと存じます。
暑い日差しの中、額をかすかな風がそよぐ時、煎茶道の真髄に触れたかの思いが家路をたどる足もとを軽やかにさせてくれた一日でございました。
今回お手前の機会を与えてくださいました可楽家元嗣はじめ、ご指導くださいました諸先生には心より感謝申し上げます。