平成23年 葵祭煎茶献茶式

 2011年5月21日、下鴨神社におきまして葵祭煎茶献茶祭が行われました。
 今年も好天にも恵まれ、早くも初夏を思わせる陽射しの中、午前10時には御行列の神官方、宮司様を先頭に可楽家元嗣、珂楽様、山本壮太様(古典の日プロデューサー)、各師範が社務所を出発、拝殿前へ。祝詞雅楽奏上の後、舞殿上にて家元嗣の炭手前と献茶手前がおごそかに執り行われました。今年は御家元から替わり、舞殿の手前全てを家元嗣が執り行なわれました。水屋奉仕は瀬本章楽師範、細田徳楽師範。献茶碗は珂楽様と菅井翠楽師範の手で御神官の手を経て御神前へ供えられました。宮司様、家元嗣、山本壮太様各々の玉串奉奠で式典は無事終了いたしました。

    

    

    

 式後、供御所と直会殿では茶莚が開かれ、300名近いお客様がそれぞれの茶味を楽しまれました。
 供御所では清明手前。お道具は、欄干に葵透紋の入った棚に唐物の茶壷や茶托、剛和造の色絵染付の水注や竹泉造の染付牧童図の煎茶碗。床の軸は村瀬栲亭の「茶籃銘並びに序」。素晴らしい提籃への銘に事寄せて茶への感動をつづっています。お花は、震災をうけた福島県の県花にちなみ、シャクナゲを中心にセンダイハギや花橘など、少しでも東北に心寄せようとの思いが込められました。

    

    

    

 直会殿では、ムラサキシキブの新緑に囲まれたガラス張りのお部屋は立礼席で、略盆玉露手前を奉仕。鬼面炉に丸瓦の炉台が珍しく、剛和造の緑唐草紋の茶碗や宜興製の白泥茶瓶や、湯冷しは蓮月の蓮を型どったものに歌がかかれている逸品などがそろう中、結界の小さな花瓶のオウチ(せんだん)や南蛮かもめづるが妍を競っておりました。銀オリベの菓子器〔柳原睦夫造〕には、これまた東北支援の一環として、秋田県の「生もろこし」に家元嗣が「方丈」と命名された名菓が彩りよく並べられました。両席のご趣向にさわやかな茶味が伴って、皆様名残惜しげに退出されていました。
 今年は、三月の震災でお祭りの執行も心配されましたが、その祭り自体がもともと天災を鎮めるために行われた意味のある物。東日本の、東北の復興を祈念するためにも執り行なわれ、多くの方の祈りが捧げられたことでしょう。

    

    

    

 


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