2010年5月22日、葵祭の祭事の一つである煎茶献茶式が、下鴨神社舞殿で執り行われました。
今年は15日の行粧(行列)が土曜日となった関係から、小川流が茶の湯の献茶に先駆けて次週の土曜日となりました。
午前10時、夏のような日差しの中、社務所前に祭事関係者が集結。先達役の忌子女に続き、一列となって拝殿前へ。祝詞奏上の後、一行は舞殿上へ。まず、可楽家元嗣の炭手前。運ばれた種炭が涼炉にくべられ、さらに炭がつがれていきます。春日盆、三器盆が整えられ、家元が手前座へ。神前に一礼されて献茶手前がすすむにつれ、ほどよく湯瓶より湯気があがり、茶投じの後、翠色の茶液が献茶碗に注がれました。改めて蓋をされた二碗は珂楽様と菅井翠楽師範の手で神官に手渡され、さらに神前へと供えられました。水屋奉仕、細田徳楽師範・野口久楽師範。また、参加者を代表して御来賓の山本壮太様(古典の日推進委員会ゼネラルプロデューサー)に玉串奉奠をしていただきました。
式後、供御所では清明手前、直会殿では棚立礼玉露手前で約250名のお客様をお迎えいたしました。
供御所には、座敷簾と金屏風、几帳で設えられた中に、葵棚を中心に竹泉製のあざやかな色絵水注などのお道具が組まれています。仮床には橋本関雪の「松下高士煎茶図」がかけられ、ヤマナシなどの季節の花が趣をそえ、また宜興の茶瓶から、ほどよくいれられたお茶がお客様の前に順よく配られて、薫り高い煎茶をほっとしたご様子で喫しておられました。
直会殿では、細長い立礼席にテーブルを並べ、手前座の鬼面涼炉や、棚上の可愛いらしい香炉からはさわやかな香りが。こちらは玉露手前ということで、さらに究極の凝縮された茶味を堪能しておられました。お菓子は奈良の鶴屋徳満製の「唐の風」。美しい色合いと、食べやすい大きさにお味もよく、大変好評でした。
午後にいたって益々暑さの厳しい日となりましたが、森の緑からの風に一時心安らぐような、オアシスのようなお茶会となったのではないでしょうか。