第55回 平安神宮煎茶献茶祭

NHK文化センター大阪教室  谷利宇楽

 猛暑がようやく去りかけて、朝晩の涼しさを感じ始めた2010年9月26日の日曜日、平安神宮において、恒例の煎茶献茶祭と煎茶会が開催されました。
 京都家元会の六流派がお茶席を設け、小川流は、神苑内の勅使館にて、棚一文字煎茶手前で、お客様をお迎えしました。
 床は、軸が清の上官周「山水秋景図」、花は尚篁(尚古斎)の竹籠に、あけぼの草、女郎花、山芍薬の実など時季の十三種。手前座には、雅な風情の虚心棚と、モダンアート柄の剛和の染付茶碗、茶瓶、水注の取り合わせ。脇床には、炭飾り「関月」が、添え物の横笛と相俟って、静かな秋の気配を漂わせていました。

    

茶名は「うづら」、お菓子は「光琳菊」。待合の床には、ががいもの蔓が絡み、柘榴の赤い実が彩りを添え、棕櫚の葉で編んだ手づくりの秋の虫が、趣を増していました。
 席をお預かりしたNHK文化センターの大阪教室生は、お茶会デビューの人も含めて、前日から、取次やお運びのリハーサル。稽古の甲斐あってか、大過なく無事に、九席約300名のお客様をもてなすことができました。
 稽古場としていたNHK文化センター大阪教室は10月、大阪駅前第四ビルから、新築となった梅田阪急ビル十七階に引っ越し、名称も梅田教室と改まりました。教室生にとっては、新しい稽古場でのスタートを前に、思い出に残るお茶会になりました。
 可楽家元嗣をはじめ、ご指導いただいた細田徳楽先生、お運びをお手伝いいただいた山中明楽、野田三楽両先生、水屋をお引き受けいただいた諸先生に厚くお礼申しあげます。

    

    


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