「風きらら 煎茶の会」 金沢支部
  金沢21C美術館・松濤庵で

 金沢教室 喜多 九楽

 金沢支部の「風きらら煎茶の会」が2010年5月30日(日)金沢21世紀美術館の茶室「松濤庵」で行われました。金沢市女性センター、白山市民工房うるわし各教室の受講生20人合同の茶会で、参席した市民105名のお客様に器局玉露手前を披露しました。
 会場の松濤庵は、江戸時代末期、加賀藩13代藩主・前田斉泰が江戸根岸に建てた隠居所「冨有園」の数奇屋風の茶室です。その後鎌倉−金沢に移され、2004年金沢21世紀美術館の開館に際して立礼席と水屋などが整備されて一般にも公開されています。お道具は教室生の持ち寄りのほか、松濤庵所蔵の器局、三峰炉なども使いました。
 当日は数日来の雨が上がり、隣接する金沢城公園や兼六園の緑が滴り、芝生と庭に囲まれた茶席は名称通り「風きらら」でした。各20人5席のお客様には待合席で香煎一服の後本席へお進みいただきました。12畳のお座敷はいっぱいいっぱいでしたが、「清々しい中に和気横溢、初めての心楽しいお席でした」などの言葉や、「お茶というものを見直しましたよ」「数滴で十分なお茶の量を感じさせますね」などの感想が寄せられました。
 本席の軸は白山市出身の刀匠、故隅谷正峯氏の書「百錬」。立命館大学理工学部時代に日本刀に魅せられ、終戦後の制作禁止時代を経て作刀を再開、人間国宝に認定されました。煎茶のお稽古の大切さを「百錬」の語意に重ねたのですが、小川家の旧宅を住まいにしたのが富岡鉄斎、その本名が「百錬」とあって、小川流煎茶とのゆかりにも触れる軸飾りでした。
 炭飾り「臥龍」など小川流ならではの床飾りや後見の話にも質問が多く、後日参席者から、手前座のスケッチや詩を配した礼状もいただいて、教室生一同感激しました。
 金沢支部は、川本霞楽・前支部長先生の体調不良で活動を中断していましたが、本部から菅井翠楽先生の出張指導をいただき、今回の茶会開催となりました。当日は川本先生のご家族も参席いただきました。
 身の丈以上のお茶会になりましたこと、家元はじめ関係の方々のご配意のお陰です。心から感謝申し上げます。 


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