小川流煎茶を学んで

塩瀬教室 前田伸楽

         「朋有り遠方自り来る、亦楽しからずや」
               論語 学而篇 第一

 茶を喫し、お互いの無事を祝う。喜びの日は喜びを分かち、悲しみの日は心を慰め合う。論語の言葉は今の私にはこのように感じられます。
 医師となり医療現場に従事し二十数年経た頃、茶文化史の講演会・親睦会で御家元との御縁をいただき、行儀の悪さを顧みず、御紹介により塩瀬教室上田明楽先生の御指導のもと稽古を続けさせて頂いております。
 年一回初稽古を兼ねた新年会を、本年は1月31日に御家元ならびに可楽家元嗣に御指導いただき、観月玉露手前の勉強が真剣ながらも和気藹々と行われました。新年会などで機会有る毎に御家元が語ってくださる茶の文化史を拝聴することは誠に興味深く、手前や所作に奥行きが加わる思いです。
 三十分から一時間手前に集中する。しかも、茶は飲んでしまうので、痕跡を残さない。禅の老師が人生に痕跡を残さないことが重要だとおっしゃったことを伺ったことが有ります。意識を集中する楽しさと痕跡が無いから、飽くことなく稽古に励めるのではないかと思います。
 三清会通信を拝読し、全国各地の由緒正しい神社・寺院での献茶やお茶会を知り、人と文化のもつ善き香りや和と縁を感じました。至らぬ者ですが、お茶会などで御縁をいただく折には御指導・御鞭撻の程を宜しくお願い申し上げます。
 最後に今年、楽号を拝受し、導いて頂いた御家元、可楽家元嗣を初めとする諸先生方、先輩・道友の皆様に感謝し一首詠ませていただきます。

                     茶を喫し 君と語らん 春の日に いにしえ人の 香り感じつ


 

 

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