二度目の初煮会

NHK神戸教室 鈴木 譲

 2010年1月24日、神戸教室の初煮会が催されました。普段のお稽古の時とは違い毛氈が敷かれ、壁際にお道具が仕立てられておりました。いつもより引き締まるような雰囲気があり、緊張を覚えましたが、床に目をやると、お正月らしく飾り付けられていて、気持ちが落ち着きました。よく見ると南天と炭で今の季節を見事に表現しています。シンプルであるためストレートに伝わってくるのではないでしょうか。これは「炭手前」によるものと説明を受け、またまた感心です。
 大塚先生によるお手前が、野口先生のご説明を交え、始まりました。「本格手前」ということで、お稽古で見かけないお道具もあります。なかでも柄杓が扁平になっているのは、水注ぎがしやすいようにしてあるとのことで合理性に感心です。昨年に続き二度目なので、少しは何をされているのか理解が出来るようになりました。このとき静寂のなか突然、茶則を台に叩き付ける音で、一瞬緊張する雰囲気となりました。これは何か合図みたいなものでしょうか。きびきびとした動作で玉露が淹れられ、参席者にゆきわたり、お茶を頂くと、とろっとした甘さに気持ちも和み、感動の声もしばしば・・・
 「末のお茶」「お菓子」と進みお手前が終わる頃、家元が到着され、場が賑やかになりました。みな一同、新年のご挨拶を交わし、しばしお話を頂いた後、新年会の会場に席を移しました。親しみやすく、会話の上手な家元ですので大変自由で楽しいときを過ごすことが出来ました。
 私は日本茶インストラクターをしていまして、家元の煎茶の歴史の講演を聴く機会がありました。家元は知識が深いだけではなく、話し方もお上手で、数百年もタイムスリップしたように興味深く講演されます。このなかで、盧仝の茶歌の話を聞いた後、家元の人格に惹かれ、小川流煎茶道をしようと決めました。二度目の初煮会に参加し、改めて一年が過ぎたのだなと思い返しております。

 

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